「風呂キャンセル界隈」という言葉がトレンド入りし、ドライシャンプーも話題に上がっていましたね。
シャンプーというからには汚れを落とすものだけど、汚れはどこへいくのか?気になった方もいるのではないでしょうか?
その答えは、ドライシャンプーの種類によって異なります。
本記事では、元ヘアケア開発者の筆者が水のいらないドライシャンプーの汚れはどこへいくのか、ドライシャンプーの種類別に仕組み・原理を解説します。
ドライシャンプーの種類別デメリットから、おすすめの向いてる人もご紹介しています。
ドライシャンプーはどれがいいのか迷っている方は参考にしてみてください。
ドライシャンプーを使うときの注意点はドライシャンプーははげるのか?の記事で紹介していますので、ドライシャンプーが日常化している方はぜひチェックしてください!
ドライシャンプーの汚れはどこへいく?
ドライシャンプーが汚れを落とす仕組み・原理には、大きく分けて3つあります。
①パウダーが皮脂を吸着してベタつきを抑える
②界面活性剤で汚れを浮かせる
③(上記+)物理的に拭う
パウダーと界面活性剤の両方が配合されていることも多いですが、剤型によってどちらかがメインになります。
4つ目のパターンとして、消臭成分でニオイを消したり香りでニオイを隠すタイプもあります。
これは「汚れを落とす」ものではないですが、ドライシャンプーと呼ばれるのでちょっとややこしい。
また、エタノールが汚れを分解する・吸収する、なんていう偽情報が出回っているようですが、エタノールで皮脂汚れや油汚れは分解できません。
本記事を読んで正しいドライシャンプーの原理を知ってくださいね。
パウダー系ドライシャンプーの汚れは残留
パウダー系ドライシャンプーの汚れが落ちる仕組みは、
①皮脂吸着力の高いパウダーが皮脂汚れを吸着
②パウダーのさらっとした感触でベタつきを感じなくなる
つまり、パウダータイプのドライシャンプーでは、汚れは頭皮や髪に残留しています。
髪や頭皮に存在はしているけど、皮脂汚れ特有のベタつきやテカリを感じない状態。
「汚れが落ちたように感じる」という方が正確かもしれませんね。
ただし、パウダーのさらっとした質感でベタつきを感じにくくなるので、意外とすっきり感はあります。
汚れを吸着したパウダーはサラサラとするので、コーミングなどである程度は払い落とすことも可能です。
パウダー系ドライシャンプーの見分け方
パウダータイプのドライシャンプーとは、以下のような剤型です。
汚れを吸着するパウダー成分としては、
・オクテニルコハク酸デンプンAI
・シリカ
・コーンスターチ
などがあります。
全成分表示を見て上記の成分名が記載されていたら、パウダー配合のドライシャンプーかどうかが見分けられます。
水系ドライシャンプーの汚れはある程度除ける
水系ドライシャンプーの汚れが落ちる仕組みは、
①水に溶けた界面活性剤が汚れを包み込む
②汚れを浮かして水に取り込む
③水分ごと拭って汚れを除去する
水分リッチなので使用すると髪が濡れるため、タオルで拭ったり、場合によってはドライヤーで仕上げます。
水系ドライシャンプーの原理は通常のシャンプーに近く、水で洗い流さずタオルで拭うという点で汚れはある程度除くことができます。
ただ、完全にふき取るのにコツがいるので、ふき取りが不十分だとさっぱり感は感じにくいかなと思います。
そのため、メントールなどのスーッとする成分が入っていて、さっぱりした気持ちになるように設計されていることが多いです。
水系ドライシャンプーの見分け方
水系のドライシャンプーとは、以下のような剤型です。
・液状(ウォーター)タイプ
・泡状(フォーム)タイプ
・ミストタイプ
・ジェルタイプ(パウダー入りの商品もある)
水系のドライシャンプーは、全成分表示で一番初めに水が記載されていて、ノニオン界面活性剤が配合されているのが特徴です。
後述する香りづけタイプとの違いは、ノニオン活性剤が入っているかどうかが大きな違いです。
ノニオン界面活性剤の種類は多すぎるので全て挙げられませんが、次のような成分名のものがあります。
・PEG-60水添ヒマシ油
・PEG-20ソルビタンココエート
・PPG-6デシルテトラデセセス-20 など
※数字が違う場合も該当
シート状ドライシャンプーは物理的にふき取る
シート状のドライシャンプーは、上記の界面活性剤で汚れを浮かせる原理に加え、シートの凹凸で物理的に汚れを除くことができます。
ただし、頭皮全体をくまなくふき取りにくいというデメリットも。
シートタイプのドライシャンプーはお風呂が面倒な時に使うドライシャンプーとしては不向きで、出先でさっと汗を抑える時や髪の汚れを落とすのに向いています。
シート状ドライシャンプーは、界面活性剤だけでなく、パウダーも配合されている商品もあります。
ダイアンのシート状ドライシャンプーはパウダーが配合されているので、汗や皮脂のベタつきが気になる場合はおすすめです。
メリットのシート状ドライシャンプーはパウダー無配合です。
消臭・香りづけタイプで汚れは落ちない
髪や頭皮のニオイを抑えるためのドライシャンプーとしては、ミストタイプが主流です。
これは、汚れを落とすものではなく、香りでニオイをマスキングする又は消臭成分でニオイを減らすものです。
ミストタイプは全成分表示を見ると、水やエタノールと香料成分しか入っていないドライシャンプーもあるので開発者としても正直驚きます。
(それでドライシャンプーって言っていいのか…)
香り付けで気を紛らわせるもの程度に考えるといいと思います。
ミスト系ドライシャンプーの全てがニオイ特化という訳でもないので、しっかり確認してくださいね。
次に、用途と種類別おすすめのドライシャンプーをご紹介します。
ドライシャンプーの種類別メリット・デメリット
ドライシャンプーの汚れがどこへ行くのか剤型ごとの原理・仕組みを解説しました。
いずれも、完全に汚れを頭皮や髪から除くことは難しいので、あくまで災害用や臨時用として使うのがおすすめです。
各タイプを使用してみた筆者がドライシャンプーのメリット・デメリットから、どんな人に向いてるのかおすすめをご紹介します。
スプレー型ドライシャンプー
日常使いするなら筆者おすすめは、水系タイプよりもパウダータイプ。
何よりさらっとするので、頭皮のベタつきや、根元のウェット感を解消できてすっきりします。
前髪見直しや、ちょっとお風呂に入れなかった時とかにはスプレータイプが時短ですっきりするので便利です。
スプレードライシャンプーは前髪直しにおすすめ
スプレータイプのドライシャンプーは、頭皮の皮脂汚れを吸着するのに向いています。
・頭皮や根元のベタつきを解消したい
・前髪に束感ができたのを直したい
・お風呂に入る時間がない
ダイアンのドライシャンプーは肌にも使えるので、スポーツで汗をかいた後に頭皮や肌をさらっとできておすすめですよ↓
スプレードライシャンプーのデメリット
スプレータイプのドライシャンプーは、根元をふわっとさせるスタイリング効果があるものが多いです。
毛先につけてしまうと、カシっと引っかかりがあり、指どおりが悪くなる場合があります。
髪が長い方は中間~毛先につけ過ぎないようにしましょう。
そして、仕組みを解説したようにスプレータイプのドライシャンプーでは汚れは頭皮に残っているので、完全にシャンプーの代わりにはなりません。
連日使い続けると頭皮トラブルの原因になるため、ドライシャンプーは臨時用として使用し、お風呂でシャンプーはするようにしましょう。
シート状ドライシャンプー
シート状のドライシャンプーは、手で拭うようにふき取るので、「汚れを除いてる感」を感じやすいですね。
エタノールやメントールが配合されていることも多く、スッと爽快感も感じやすいです。
シートドライシャンプーは持ち運びにおすすめ
シートタイプのドライシャンプーは全種類の中で一番、毛先にも使いやすいです。
髪の汚れを取りたい時に特に向いています。
・ヘアオイルを落としたい
・髪についたタバコ臭や焼肉臭が気になる
・ヘアオイルや香水の匂いがキツイ
香水をつけすぎた、という方は香水が臭いときの対処法4選を別記事にてご紹介していますので参考にしてください。
ダイアンのシート状ドライシャンプーは肌にも使えて便利です。
コンパクトで持ち運びやすいので飲み会の時などにカバンに入れて置くと重宝しますよ。
シートドライシャンプーのデメリット
シート状のドライシャンプーはシートを使って手で拭うようにして使用するため、頭皮の汚れを隅々まで除くのが難しいです。
災害時のドライシャンプーというより、日常の外からの汚れを除くのに向いています。
フォーム状ドライシャンプー
フォーム状のドライシャンプーは、泡を頭皮全体にもみこみ、タオルで拭き取ります。
タオルで拭くだけだと見た目はウェットでちょっと清潔感がないので、ドライヤーで仕上げることをおすすめします。
フォームドライシャンプーは災害時におすすめ
泡状ドライシャンプーは、界面活性剤で汚れを落とすタイプで、成分的にも通常の洗い流すシャンプーに近いです。
・災害時の非常用シャンプー
・入院や介護でお風呂に入れない
という時におすすめです。
フォームドライシャンプーのデメリット
フォームタイプのドライシャンプーといっても、商品によって成分は様々。
ほぼ水とエタノールだけだったり、活性剤の配合量が少ないものは、汚れを落とす機能は低いです。
こういう場合、メントールでスーッとさせて爽快感を感じる演出がされていて、使った直後はすっきりしますが、時間がたつとすぐにべたついてきます。
おすすめはアニオン性の界面活性剤が配合されているもの。
ノニオン性活性剤やカチオン性活性剤よりも多く配合しやすいので、十分な洗浄力が得られます。
コモライフの水のいらない泡シャンプーはアニオン性活性剤が使われていて入院時や緊急時用にストックしておくとおすすめです。
ミスト状ドライシャンプー
ミストタイプのドライシャンプーは髪や頭皮にシュッと吹きかけて使用します。
髪に使うタイプは、香りづけされていてヘアフレグランス代わりにもなります。
ミストドライシャンプーはニオイ消しにおすすめ
髪に使うミストタイプのドライシャンプーは、ニオイ消しに特化しているものが多いです。
・髪や頭皮のニオイが気になる
・髪についたタバコ臭や焼肉臭が気になる
という方に向いています。
特におすすめなのは、消臭成分が配合されたもの。
香りでごまかすのではなく、ニオイの元に対処できるのでちゃんとすっきりします。
KAMIKAのクリアスカルプミストは、消臭効果のある有効成分(イソプロピルメチルフェノール)が配合されたドライシャンプー。
ニオイの元を抑えたうえで、ミントヴァーベナの香りが爽やかに香ります。
ミストドライシャンプーのデメリット
ミストタイプのドライシャンプーは、洗浄成分が配合されていなくて香りづけのみの商品も多いです。
ニオイは消したりごまかしたりできても、汚れの洗浄力や皮脂吸着力は期待できません。
油汚れを落としたい時には向いていないドライシャンプーだと言えますね。
液状ドライシャンプー
液状タイプは、しゃばしゃばのテクスチャー。
頭皮全体にばしゃばしゃとつけたら、頭皮をマッサージするようにして汚れを浮かせ、タオルで拭きとります。
無香料のものを洗浄目的で使うなら、泡状のフォームタイプの方が頭皮にとどまりやすく、あえて液状タイプを使うメリットはないかなと思います。
液状ドライシャンプーの使用感は…
資生堂の水のいらないシャンプーを使った感想としては、あんまりすっきりしないなーというのが正直な印象。
しっかりタオルで拭いたつもりでも、ドライヤーで乾かしても、なんとなく根元がウェットな感じが残ります。
原理的には汚れをふき取るので汚れは取れてそうなんですが、すっきり感を感じにくいのがデメリットです。
試したのはこちら↓
全成分表示を見ると、エタノールがメインで活性剤はノニオン性。
ノニオン性活性剤自体が乾くとベタっとするので、アニオン性活性剤がメインの液状シャンプーを選べば使用感は良いかもしれません。
まとめ
ドライシャンプーの汚れはどこへいくのか、剤型別の仕組みをご紹介しました。
ドライシャンプーが汚れを落とす原理は商品によって
・パウダーで皮脂を吸着する
・界面活性剤で汚れを浮かす
・物理的にふき取る
・香りや消臭成分でニオイを除く
の4パターンがあります。
いずれも完全に汚れを除けるものではないので、ドライシャンプーを使って何日もお風呂に入らないというのは推奨できません。
それぞれのメリット・デメリットがあるので、用途に合わせて使い分けるのがおすすめです。
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